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金継ぎ覚書*「割れ」を接着する。 [pottery]

割れた器を復元する。この作業が自分でできたなら、と思い続けて早幾年。金継ぎ初心者向けの本も何冊か読み、頭の中では十分理解できたと判断し、必要な材料を揃え、いざ実践してみました。工程半ばですが、これまでの作業を記録しておきませう。


割れた器.JPG


↑割れた器の、ほんの(^^;)一部です。器を割れば掃除して廃棄しますが、単純な割れのもの、欠けだけの器は残しています。



必要な材料:


*生漆(接着剤)

*黒呂色漆

*絵漆

ガラス板(この上で漆を練る。100均の写真立てのガラス部分、トールペイント用使い捨てパレットを使用)

細筆(トールペイント用極細筆を使用)

*金や銀などの粉

*テレピン油(漆を薄めたり、筆を洗ったり)

消毒用アルコール

小麦粉、おかゆ、上新粉など(粘着度を上げるために使用)

水(小麦粉を溶くため)

ヘラ(漆、小麦粉を混ぜる 割り箸や丸箸、杉のお箸で手作り)

*クリスタル研石(#2000、#3000)、サンドペーパー(#320)、マスキングペーパー(余分な漆を磨き落としたり滑らかにする)

ビニール手袋(かぶれ防止)


*電動リューター(あれば便利 漆が乗りやすいよう、器に傷を付けるために使用)


*印は新規購入したものです。購入先は、漆や道具は主に漆屋さん(福井の箕輪漆行さん)やDIY店です。


工程その1:器の下処理をする


器、特に割れの断面を中性洗剤で丁寧に洗い、乾かします。さらにその断面をアルコールで拭きます。(油分や汚れが残っていると接着できないため)

電動リューターで割れの断面の中心に線を引くように傷を付けます。


工程その2:麦漆を作り接合する


小麦粉:上新粉=1:1に水を少しずつ加えて粘りが出るまでヘラで混ぜます。それと同量の生漆を出し少しずつ練り混ぜます。(始めは黄土色の生漆が酸化することで不気味?に変色しはじめ、ビックリ><)

耳たぶより少し硬いかな、という硬さまで練ります。これを麦漆と言います。この麦漆を断面に置いていきます。(片方のみと指示された本がありましたが、私は両面に塗りました)

割れた面同士を慎重に合わせます。はみ出た余分な麦漆は、ヘラで取り除いておきます。

マスキングテープで固定します。

*麦漆を塗る前に生漆を塗り、すぐティッシュで拭き取るという工程を挟む場合もあるようです。これは麦漆の接着を促す化粧水のようなものだそうです。


工程その3:室へ入れる


漆は温度20度湿度70%以上で乾くため、加湿した箱などの中で寝かせます。私は木箱に濡れ布巾を入れて、それを室にしました。


IMGP4467.JPG


↑室の中です。欠けを埋めたものがありますが、これは最初の大失敗。欠けは麦漆ではなく、錆漆(麦漆より造形しやすい)で埋めるのでした。初心者は想像を超えた失敗をする?私だけでしょうか?やれやれ。とりあえず、このまま乾かし、後日、錆漆を充填します。


工程その3:余分な麦漆を落とす


研石#2000を水で濡らしながら、麦漆で汚れた部分を水研ぎします。汚れが厚い部分はカッターを使います。磁器の場合はさほど気を使いませんが、陶器、特に粉引のようなものは傷が付きやすいので慎重にします。


IMGP4475.JPG


↑十日後。あら不思議。しっかり接着しています。(茶色のレンゲは歪んで接着されていましたので、やり直しです><)余分な麦漆を掃除し、次の段階へ続きます。


工程その他:使った道具類をテレピン油で洗う


今回、筆は使っていませんが、漆の付いた筆やヘラはテレピン油で洗い落とします。またきれいに洗った筆はその後サラダ油に浸し保護します。再度使う際に、テレピン油でサラダ油を落とします。