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日々是好日。 [diary]

朝は富士山のご機嫌を窺い、夜はお月さまの満ち欠けを確認する…。私の日課です。


ここ数年、普段通りに過ごせることが、どれほど貴重であるか、それを噛み締める日々が続いています。被災された方々が、一日も早く、普段の生活に戻られますように。
さて、私が新卒で入社した企業は、化学薬品の貿易商社でした。当時はイランイラク戦争の最中で、表向きにはイランとの交易を絶っていた時代です。会社は紛争地域の多いアジアや中近東とのビジネスも盛んに行なっていました。
ある時、イラクより、ひとりの会社社長が、眼の不調を検査するため、ビジネスも兼ねて来日されました。
社長の名はMr.ピーター カカ、イラク人のクリスチャンでした。
私は阪大附属病院眼科でのアテンドを任され、一日、カカさんに付き添いました。検査の結果は緑内障。診察や結果待ちの間、様々な話をしてくださいましたが、中でも印象深く忘れられない言葉があります。
カカさんは、世界中に高級ホテルを定宿を持つセレブでした。日本の庶民生活に興味がおありだったのでしょうか、私のサラリーや暮らしぶりを尋ねられ、そして少し憐れんだ様子で静かに仰いました。
「貴女には充分なお金はないが、若さと健康がある。私には財産はあるが、若い時代は過ぎ、今、眼が不自由になろうとしている。人生はそんなものだよ。」と。また、「日本は平和だが、私達アラビア人に平和はない。」とも。
当時二十代半ばの私の理解は推して知るべし…。年齢を重ねるとともに、カカさんの言葉が腑に落ち、重みが増していきました。今となっては痛いほど身に沁みます。
老若男女問わず、「永遠の出口」が用意され、日常が一変することの繰り返し。愚かな為政者を野放しにすれば、平和すら見失なうでしょう。人生とはそんなものなのだと肝に銘じ、怒るべきところでは怒りながら、日々を有り難く生きていきたいものです。
↓クリスチャン ディオールのロングセラー、レール デュ タン。
カカさんよりアテンドのお礼にといただいた香りです。以来、常に手元に置いています。
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